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開発日誌

―リトル・リコレクターのメンバーが、それぞれの目線で開発の様子をお届けします―

ストライプ

こんにちは、ディレクターの笹口です。
今回は、『リトル・リコレクター』の世界観がどのように決まったのか、
そもそも世界観とは、ゲーム開発においてどのような役割を持っているのか、ということをお話ししていきます。
なお、世の中のゲーム開発における考え方は多種多様で、あくまで本作における世界観の構築の経緯としてお聞きいただければと思います。

世界観を作ることになった経緯

ちょうど一年前くらいに投稿した記事「#6 「企画はどうスタートしたか」 でも少し触れましたが、
本作の企画が始まった経緯に、アートディレクターの清水くんの描いた「アートで引っ張っていく」という方針がありました。

初期世界観イメージボード 初期世界観イメージボード

このイメージボードと一緒に、簡単な世界観についての構想も受け取っていたので、それを原案に調整を施しながら、世界観そのものも骨子づくりと肉付けを行うことになりました。

そもそもゲームにおける世界観とは?

「世界観」という言葉自体は、ゲームに限らず、漫画やアニメ、小説など様々なコンテンツで用いられ、耳馴染みもあるかと思います。
どのコンテンツにおいても、世界観は物語を構成するための、いわゆる「物語の舞台」と捉えている方が多いと思います。
ただ、ゲームにおける世界観は、物語を構成するための設定やルールにとどまらず、ゲーム体験そのものに主軸を置いたものと考えています。そのため、描かれるストーリーのみならず、グラフィックやUI、サウンド、レベルデザインなどのあらゆるゲーム体験に影響を与えてきます。

本作は特にストーリー重視というよりは、ゲーム体験に重きを置いたタイトルです。
文字情報で伝えよう、ということはせず、アニーとトリスタンのリコレクターとしての体験を通じて、少しずつ世界観を感じ取ってもらおう、という方針で開発を進めています。

そのため、本作におけるゲームの世界観は、ゲーム体験を彩るあらゆる要素を作成するにあたって、ブレをなくすための指針という役割を担っています。

世界観はどのようにして作成したか

ストーリーを語らない、という方針のためゲーム中では語られることはほとんどないのですが、各種デザインや演出などから「こういう世界観なんだ」という空気感や雰囲気を感じ取ってもらえるように、開発メンバー向けの世界観資料を作成しました。

決め過ぎない世界観

ストーリーが重要な媒体などであれば、読み進めたり見続けているうちに矛盾が生まれないようにするために、予めかっちりと定められた世界観が必要だと思います。
一方で、本作のように、特定のストーリーを語らないゲームにおいては、むしろ曖昧さや余白を残すことによって、プレイヤーそれぞれが想像を膨らませる楽しみが生まれると考えています。
そのため、開発チームが作成する素材や演出に一貫性を持たせることだけに終始した粒度での世界観の構築を行いました。
特に、ビジュアル面はデザイナーのアイデアを活かしたいと考えていたので、まずはコンセプトアートをいくつか描いてもらうための、叩き台レベルで世界観を作成しました。

最初は清水くんの原案から構想を膨らませたメモ書き程度のものを渡して、塔内で冒険する少女と相棒の鳥、というコンセプトアートを目指してもらいました。

初期コンセプトアート 森くんに描いてもらった初期コンセプトアート

アニーとトリスタンの名前すら決まっていない当初、塔の設定も固まっていなかったため、"中央通孔"という真ん中に大きな空洞がある塔が舞台で、今よりもはるかに広いダンジョンを探索するイメージで構想を膨らませてもらいました。

世界観とコンセプトアートの平行作成

コンセプトアートは清水くんと森くんの二人でいくつかの案を作成してもらいました。
描くにあたってわからない部分などは都度質問してもらい、ある程度頭の中にイメージが固まっている僕から情報を引き出しつつ、みんなで意見を出し合って固めていきました。

そのため、決まった世界観からコンセプトを作成するというよりは、世界観をコンセプトアートを描きながら固めていった形になります。

結果として、コンセプトを作成するデザイナー2人に負担はかけたものの、世界観への理解を高い密度で3人の間で共有できたと感じています。特に森くんは現在UIデザインの調整をお願いしていますが、世界観を深く理解しているからこそ、上がってくるデザインのほとんどが『リトル・リコレクター』の世界観にドンピシャのものになっています。

変化していく世界観設定

先ほど少し触れたように、当初は一つの巨大な塔をダンジョンとして、そこを冒険するという構想でした。
しかし、ゲーム開発が進むにつれ、ゲームプレイのサイクルの調整やプレイフィールの調整を重ねるうちに、この「一つの巨大な塔」という設定がゲーム体験と合わない部分が出てきました。
そのため、この設定は捨て去り、空に浮かぶ多くの浮島を巡る冒険、という世界観設定へと調整していったわけです。

ワースイラスト 現在のワースのイラスト

これこそが、ストーリーよりもゲーム体験を重視したゲーム制作の場ならではの世界観の決め方ではないかなと思います。

最後に

本編では語らないとした世界観設定ですが、これまでの開発の中で決まった設定や、4コマ漫画「とりたんっ!」の連載に向けた調整などを重ね、設定はかなり固まってたりします。

今後のプロモーション施策のみならず、どこかでこの世界観を皆さんにも味わっていただける機会を設けられないか検討しています。
webのページなどに世界観解説のページとか作るのもよさそうかなー、なんて。

すぐすぐの着手はできなさそうなのですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです。

こんにちは!2Dデザイナーの森です。

今回は、体験版の配信に伴いデザインを大幅に変えようという話になりましたので、そちらを深掘りできればと思います。


そもそもなぜUIを変える必要があったの?

理由としては、「世界観を補強する役割を強めたい」という目的が大きいです。

以前のデザインは直線を用いてユーザーの視認性を担保し、モチーフを使って世界観を伝えるという意図があり、整理されたデザインでした。そこにもう少し世界観のテイストを加え、世界を説明する要素を増やして没入感を付与することが今回の目的でした。

以前のデザインがあったため、ある程度レイアウトが固まった状態からテイストのみを変える調整だったため、とても作りやすいように思いました。

最終的に以下3点を軸として進めるスタイルでまとまりました。

  • スタイリッシュというよりガサガサした無骨なタッチ
  • なぜそこにあるのかが説明できる具体的なモチーフ
  • 実線を用いて影は斜線で表現

ここで具体的な例としてリザルト画面を見ていきましょう。

改修前 改修前のリザルト画面

モチーフ決定

リザルト画面は、遺跡に挑んで帰還したとき「帰還成功or失敗漫画」→「リザルト画面」という流れで再生されます。そのため漫画から紙モチーフつながりでリザルトに移行するのがシームレスだと感じたので、 ぐちゃぐちゃの机にアニーが作った報告書が散らばっているイメージを想像してデザインを作成しました。アニメーションイメージは紙が上下左右からファサっと重なっていく感じです。

1稿

テイスト模索

この時点ではまだ序盤でテイストが固まっておらず、清水さんに輪郭線や影に斜線を入れることでなじませる方向を提案していただき、ここで方向性が定まりました。ラフというのもありますが、この時点ではまだきれいすぎる印象がありますね。 ここで、仕様変更によりリザルト画面で売却機能をつける予定だったのが、別画面にお引越しとなったため要素を見直すことになりました。

ラフ2稿

情報整理

ここでだいぶテイストや内容が固まってきたため、情報を見やすくする工夫をいろいろ試してみました。

目が留まる上部に重要な情報をもってきつつ、優先度の高いものは文字と背景色のコントラストを上げ、低いものはコントラストを下げて目立たせ具合を調整しました。すべての情報の幅をきれいにそろえるときっちりかっちりした印象が強いため、ルールを各ユニットごとでそろえるようにしました。

こちらで完成です。

完成

最後に

具体的に描いたがために、単に紙モチーフというだけだと「これはどういう紙なの?」と違和感を持ってしまう弊害が生まれてしまいます。なので、リトルリコレクターでは「○○をするための紙」といった感じで説明できるモチーフを心掛けたいですね。

また、テイスト合わせもとても勉強になりましたが、クオリティラインの意識も持っておこうと思います。

どうしても一つを集中してクオリティを高くしがちですが、ゲーム全体見たときクオリティに差があるとそっちに目が行ってしまいます。なのでクオリティにラインを設けて、それぞれに差を出しすぎないことが大切ですね。

それではまたお会いしましょう!

こんにちは。寺沼です。

今回は、体験版に向けて作ってみたはいいけど、ボツになってしまったBGMをいくつか紹介していこうと思います。

拠点パート

神秘的になりすぎました。
もっと安心感があるバージョンが採用されました。

帰還パート

当初はミニゲーム感を出すためにチップチューンを検討していました。
現行のバージョンと比較した結果、世界観と離れすぎていることもあり、ボツになりました。

リザルト:成功

これはかなり作りかけですね…
楽しげにしたくて手当たり次第にパーカッションを足してみましたが、ダサさを払拭出来ませんでした。
最終的に爽やかな印象のBGMが採用されました。

リザルト:失敗

失敗時の悲しい感じを出すのが難しく、"寒そうなさすらいの旅"みたいな印象になってしまいました。
採用バージョンでは、"悲しさ"ではなく、"無念"を意識する方針に切り替えました。


一旦こんなものでしょうか。
以上、BGM制作の紆余曲折の残骸を供養させて頂きました。

それでは、また。

はじめまして。 2Dデザイナーとして参加しているチュウライです。

昨年の5月に参加して、気がつけばもうすぐ1年。 本当にあっという間で、「時間ワープした?」と思うくらいの速さでした(笑)。

ということで今回は、昨年の5月に遡って、最初の頃のお話をゆるっと振り返ってみようと思います~!


デザイン作業のお話

最初の担当は「階層間エレベーター」でした

この1年の作業を振り返ると、ほとんどがデザイン関連。 その中でも最初に担当したのが、エレベーターとコンソールのデザインでした。

まずはエレベーター。 各フロアの一番上でちゃんと待っててくれて、次の階へ連れていってくれる、ちょっと檻みたいなあの装置です。

ゲーム内画面

……なんですが、初稿はまったく違う形でした(笑)! 当時はまだ『リトル・リコレクター』の世界観をうまく掴めておらず、「遺跡っぽさ」と聞くと、どうしても頭の中が『ゼルダの伝説』シリーズのような雰囲気でいっぱいに。
その結果、最初のデザインは“ポータルっぽい”見た目となりました。

エレベーター初稿

その後、清水さんと笹口さんから 「The遺跡感は弱めて、生活設備として生成された装置のような雰囲気を強めたい」 というフィードバックと参考画像をいただき、方向性が大きく変わります。

初稿では、遺跡感が強く出ている要因として、石材のような質感や、一部の紋様・形状にあると考えていました。

そこで改めてプロジェクトの資料や既に実装されているゲーム内のビジュアルを見直し、いくつかの共通要素を抽出しました。 具体的には、背景で多く用いられている「褐色」、エネルギー源である「ハルム」、そして世界観に登場するロボット「ドローン」の3点です。 既存の世界観要素同士に連動性を持たせ、新たな形として再構成することで、より本作全体のトーンに馴染むのではないかと考えました。

そのため、全体のベースカラーには「褐色」を採用し、銅のような質感や、廃棄物・経年変化を感じさせる表現を意識しています。 また、「ハルム」の青をアクセントとして取り入れ、エレベーターの稼働エネルギーを視覚的に示す役割を持たせました。 さらに「ドローン」の要素をモチーフとしてデザインに組み込むことで、単なる装置にとどまらず、わずかな“生物的な気配”や物語性を付加することを狙っています。

プレイヤーが目にした際に、「これはどういう背景を持っているのか」と興味を持ってもらえるような存在になればと考えました。

そこから 「天井型」(扉感を強調した方向)と「籠型」(ドローン+台座コンセプト) の2案を制作し、最終的に「籠型」案Bが採用。

エレベーター二稿

この装置の成り立ちについては、個人的に次のようなイメージを持っています。
「ドローンはもともと製作者から与えられた指示(物を運ぶなど)を持っている存在。 ただ、人間からの指示を失ってしまったことで、偶然瓦礫のようなものを運び始め、そのまま移動の動作だけを繰り返すようになった——」
というイメージです。

先輩のアドバイスをもとにブラッシュアップして、今のゲーム内の形になりました。


続いて「コンソール」デザイン

次に担当したのがコンソール。

エレベーターでの経験を踏まえて、今回は最初から

「遺跡っぽいけど遺跡すぎない」 「廃棄された生活物が自然に組み合わさったようなもの」

この2つを意識して進めました。その結果、4つの案を制作(左図参照):

①魂の遺物寄り装置案 ②丸み遺跡風案 ③機材組み合わせ案 ④DNA喚起装置案

この4案の中から、先輩方の世界観的な観点や実装面の可能性を踏まえて3つの方向に絞り、調整を加えたうえで新たに5案を制作しました(右図参照)。

コンソール初稿と二稿

制作中は、「実際にどう操作するのか」「どんなインタラクションになるのか」も頭の中でイメージしながら、それをデザインに落とし込んでいます。

そして最終的に採用されたのは—— 「丸み遺跡風案」(右図A参照)。 “生物感”という要素が評価され、満場一致で、決められました。

この案のインスピレーションとしては、『アントニ・ガウディ』が手がけた建築に見られる独特な曲線的フォルムと、ゲーム内で既に実装されている森さんデザインの「帰還ポイント」から受けた“生物感”の印象にあります。

プロジェクト初期に森さんから、参考として『アントニ・ガウディ』の建築を見ることを勧めていただきました。 『アントニ・ガウディ』は植物や動物、波や炎といった自然物の成長過程から生まれる有機的な曲線を建築に取り入れており、その造形はどこか生命感を帯びています。 この“有機的な曲線”という要素は、本作の世界観とも通じる部分があるのではないかと感じました。

そこで本案では、 「立ち操作コンソール」+「生物感」+「曲線的フォルム」 という3点を軸に構想を進めています。

制作過程において特に難しかったのは、現代的な装置としての機能性を保ちながら、本作全体のビジュアルトーンへ自然に落とし込む点でした。 加えて、プレイヤーが一目見た際に「これは操作台かもしれない」と直感的に認識できる必要もあります。

そのため、自分の中で操作台を特徴づける要素として、 「ディスプレイ」「タッチパネル」「立ち操作のシルエット」 の3点を基準として設定し、それらの大枠を崩さないようにしながらデザインを行いました。 その上で、「生物感」「曲線的フォルム」という要素を段階的に加えていくことで、世界観との接続を図っています。

様々な要素を意識しながら描いていくうちに、気づけばこの“謎のフォルム”に(笑)。 自分でも一番気に入った案なので、採用されたときは本当に嬉しかったです!


この経験で掴めたこと

この2つの作業を通して、少しずつ見えてきたキーワードが以下になります:

「廃棄物の自然な組み合わせ」 「曲線的フォルム」 「生物感」

これらが、『リトル・リコレクター』の美術世界観を理解する大きなヒントになり、 その後のデザインにも活きています。


あっ、ちょっと文章が長すぎるかもしれませんね……!
キーボードを打つ手も疲れてきたので、今回はこのあたりで。
やっぱり1年分の話は、一括ではとても払いきれないので、分割払いスタイルでいこうと思います。 また機会があれば、続きをゆるっと書かせていただければと思います~!

こんにちは、寺沼です。

今回は、体験版で流れているBGMについてお話しします。

『リトル・リコレクター』の楽曲を制作するにあたって、清水くんと相談して決めていたことが一つありました。 それは、「ゲーム全体のBGMを、たった一つのメインメロディから構成する」ということです。

これには、次のような狙いがあります。

  • ゲーム全体の雰囲気に統一感を持たせる
  • メロディの制作コストを抑え、アレンジに注力する

最初に作ったのは、体験版のタイトル画面で流れている、こちらの曲です。

この楽曲を、本作の「メインテーマ」と位置づけました。

それでは、他のBGMも聴き比べてみましょう。 まず、清水くんがアレンジしてくれた「探索BGM」は、以前の記事でもご紹介しましたね。

ほかにも、帰還中のBGMや、

帰還成功時のBGMなどは、メインのメロディが分かりやすく引用されています。

一方で、拠点のBGMはオリジナルフレーズが多く、一見すると別物のようです。 しかし、実はメインフレーズが使われていたり……

他の部分のフレーズが隠れていたりと、

メインテーマのフレーズはしっかり使われているのでした。

以上、BGMについてのお話でした。 それでは。

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