#62 「開発者インタビュー 企画編」
こんにちは。デザイナーの清水です。
今回はディレクターの一人である笹口さんにインタビューを行い、どんな人なの? というのを掘り下げてみようと思います。 笹口さんが普段どんなことを考えて『リトル・リコレクター』でのディレクションやプランニングをしているのか気になりますね。

ディレクターの笹口さん
今回インタビューを受ける人。『リトル・リコレクター』では世界観設定から具体的なステージ制作まで、ゲーム全体のあらゆるところを作り上げている。
打てば響くようなレスポンスで様々な意思決定を行う、プロジェクトの牽引役だ!
――これまでのインタビューではルーツから聞いていたので、今回もそれでいこうかと思います。ゲーム業界を意識し始めたのは、いつ頃でしたか。
就職活動のタイミングですね。
ただ、その時点でゲーム開発者になろうと明確に決めていたわけではなかったですね。
ただ、それ以前からゲームは好きでしたし、大学2年生のときにはゲーム会社のサマーインターンに参加していました。
――そのインターンで手応えがあったということなんでしょうか。
手応えはあったと思います。
ただ、その場もそこまでゲーム開発とは何かみたいなところに踏み込むようなことはあまりなくて、プレゼンテーションとかグループワークが中心でしたね。
――笹口さんには日頃から牽引力を感じていますけど、そのときもそういった役回りだったんですか。
まあ、自分の言いたいことを言わないと気がすまない性分ですから(笑)。
とはいえ、みんなの合意を取ることは意識していました。
そういった経験がゲーム業界を選択肢として意識する最初の一歩になったのは確かかなと思います。
――当時は、どのように業界や会社を見ていたのでしょう。
当時としては開発会社とかパブリッシャーみたいな区別もあまりついていなかったですね。それぞれがどんな仕事をしているのかといったことについても。
就職サイトから幅広くエントリーして、各社の説明会や面接を受けるうちに、初めて知ることが多かったです。
自社スタジオを持つ会社だけではなく、日本中に多くの開発会社があることとか。受託開発の会社もあれば、アプリをつくる会社もあることとか。
説明を聞いているうちに、「ここはこういう開発の会社だったんだ」と、一社ずつ理解していきましたね。
結構なにも知らない状態で突撃していった感じで、ある意味ライブ感でやっていましたね。
――クリエイティビティがぶつかり合って何かを生みだすことを日頃から大事にされている印象ですが、それは当時からそうでしたか。
いいえ。学生時代にゲーム開発をした経験は一度もありませんから。
ものづくりに触れていたといっても、趣味で動画をつくるくらいで、すべて一人で完結していました。
誰かと一緒に何かをつくる経験はなく、趣味の範囲を超えるものでもなかったと思います。
意識が変わったのは業界に入ってからですね。
学生時代には一人で完結する創作しか経験していなかったので、複数の人が専門性を持ち寄って進む現場は、見るものすべてが新鮮でした。
実際の現場に入ったところから、チームでものをつくる意識が形になっていったと思います。
入社当初は、そうした人たちより自分のスタートラインが一歩後ろにあるという意識を強く持っていました。
ゲーム開発を経験していない自分が、ゲームをつくる中で何ができるのか。そう考えたとき、まずは目の前の仕事に食らいつくしかありませんでした。
デザイナーやエンジニアとは違って専門性で戦っていくというよりは、自分なりのクリエイティビティをぶつけていくしかないなと。
クリエイティビティと一口に言っても色々ありますけどね。
――未経験で入った現場では、何が新鮮に映りましたか。
ゲームには、さまざまな専門性が関わっています。
デザイナーなら、デザインやイラストだけでなく、空気感や肌触りというところにも表現がある。
プログラマーなら、処理のスピード、アクションの手触り、リアクションの反応にも表現がある。
専門性ごとに表現できるところは違いますが、それらを一つにまとめることでゲームになる。
さらにゲームはユーザーなくして成り立ちません。ユーザーが関わって初めて成り立つ、インタラクティブなところにも面白さがあると思います。
異なる専門性を持つ人たちが考えや技術をぶつけ合い、織り交ぜながら一つの作品になっていくというのがゲームづくりの面白いところですね。
――現在の少人数チームでの開発では、その面白さをどのように感じていますか。
少人数の開発では、大規模な開発に比べて各人が担う領域の割合が大きく、一人ひとりの思いが作品に色濃く反映されるというのを感じています。
各セクションがベン図のようにそれぞれの領域が重なり、その境界にはグラデーションがあるわけですが、その中で誰かの意見が強くなりすぎないことは意識しています。そのための3人ディレクター体制でもあると思いますし。
その上で実働としてのメンバーたちもいて、彼らのこだわりも色濃く反映されていますし、バランスを取れているんじゃないかなと思います。
複数人で意思決定する以上、時間はかかりますが、自分たちがつくりたいものをつくっている感覚が強い。
これまでの仕事の中でも、いちばん「ものづくりをしている」と感じられる現場です。
――企画職は、どのような役割だと考えていますか。
企画というのは、基本的にはプログラマーやデザイナーといった専門職が担わない部分を引き受ける役割だと考えています。
プロジェクトによってはレベルデザインを専門に担うプランナーとか、そういった細かい区分けがあることもありますが『リトル・リコレクター』においては企画という括りしかないですから、自然とそうなっていきますね。
ただ、それも一つの答えの形というだけで、たとえば今の開発においては、ステージも作っていますし、プレイヤーのパラメータの調整もしていますし、わりと実際に手を動かす側になっています。
一方で、別のプロジェクトであれば、デザインなどの成果物を見て仕様面で整理し、各担当がつくったものを持ち寄るときの「集める係」が求められることもあります。
同じ企画職でも、どこに比重を置くかはプロジェクトによって変わりますから、固定された職能というより、その場に必要な仕事をどう担うかという話に近いと思います。
――「その場に必要な仕事」とは、具体的にどのような仕事でしょう。
誰でもできそうに見えても、人があまりやりたがらないこと。あるいは、できるけれど手間がかかることです。
専門的な技術そのものではなくても、細かな作業を一手に担うことがあります。どのような仕事をうまく担えるか、どの側面が得意かは、企画を担当する人によっても異なります。
そうした仕事は、ゲーム画面に直接表れず、すぐにゲームの良し悪しへ影響するようには見えないかもしれません。
それでも、欠けていればゲームを完成させられない仕事です。専門職が担う範囲の外側にある、手間のかかる細かな作業まで引き受ける。企画には、そのような仕事も含まれていると考えています。
今回は笹口さんのゲーム開発に対する思いを聞きました。
笹口さんとは『リトル・リコレクター』の制作で初めて一緒に仕事をさせてもらったのですが、最近はかなり阿吽の呼吸になってきています。
ここからリリースまで共に駆け抜けたい……!
それではまたお会いしましょう。