東京ゲームショウ2025に出展しました!
こんにちは、ディレクターの笹口です。
今回は、9月25日から9月28日の4日間で開催された『東京ゲームショウ2025』に出展した際の様子や、準備をどのように進めていったかをレポートとしてまとめました。
今後イベント出展する際の備忘録も兼ねて、読んでいる皆さんの参考になったら幸いです。
なお、情報については2025年10月現在のものとなりますので、今後変更される可能性がありますので、ご了承ください。
目次
- 出展の経緯
- 出展概要
- 事前準備➀ - 目的の設定
- 事前準備➁ - 各種申請
- 事前準備➂ - ブース装飾
- 事前準備➃ - ノベルティ・配布物
- 当日の運営
- 出展してみて
出展の経緯
まず、なぜ出展に至ったか、というところですが、これはプロジェクトの発足時から東京ゲームショウでの展示を目指すことを決めていました。
『リトル・リコレクター』は、ウニコでの自社プロジェクトであり、現状パブリッシュについても自社を予定しています。基本的には受託開発の会社なので、広報を行う部署もなければ、効果的なプロモーションについても知見はほとんどない状態です。
そこで、 国内最大級のゲーム展示イベント『東京ゲームショウ』に目を付けたわけです。
ちなみに東京ゲームショウへの出展自体は、過去に何度か行っているので、出展自体はそこまで滞りなく行えるだろうという目算もありました。
前回の出展はTGS2022、『Omen of Sorrow』と『神奏三国詩』というタイトルを展示してました。
出展概要
ブース種別
今回、ウニコの出展は ターンキーブース というやや小さめのブースで行いました。
ターンキーブースは、1小間あたりのブースの広さが 3m×3mの普通小間に比べて 2m×2mと狭いブース種別ですが、ライトやコンセントなどの電気周りの設定が含まれているため、施工工事なども必要なく、ブース装飾をそこまでこだわる想定ではなかった今回の出展では、都合がよい出展プランでした。
ブースで行えることに細かい部分で制約があるものの、今回の出展においてはあまり影響はありませんでした。
なお、2m×2mだけではやはり狭いかなということで、2小間分での申し込みをしています。
出展区画
一般展示での出展を行いました。
昨今インディゲームの盛り上がりもあり、『リトル・リコレクター』の開発体制としてはインディゲームコーナーでの出展も視野には入っていたのですが、インディゲームコーナーでの出展では9-11ホール側での出展となるので、他の大手タイトルが集まる1-8ホール側で一般展示として出展するほうが自分たちのブースが目に入る機会が多いかなという狙いで、一般展示に決めました。
事前準備➀ - 目的の設定
出展準備などの対応は自分一人では厳しいので、『リトル・リコレクター』の開発コアメンバーを中心に対応を進めていきました。当日の運営はコアメンバーでも足りないので、社員全体から手伝ってもらえる人を募る必要がある都合、『リトル・リコレクター』の開発に携わっていない人にお願いすることもあるだろうということで、出展の目的 をしっかりと決めるところから始めました。
『リトル・リコレクター』を知ってもらう
まず第一は、タイトルのプロモーションを目的に設定しました。
少しでもTGSに参加された方の記憶に残ることを目指し、事前の準備や当日の運用計画の策定を行いました。
開発の参考になる意見の吸収をする
『リトル・リコレクター』は開発中のタイトルのため、試遊展示を行い、会場でいろんな方からの生の声を聴くことを目的に設定しました。
開発途中に意見をいただける機会というのは、なかなかないですし、リリースした後もないので、TGSで実際に遊んでもらってどういった感想をいただけるのかを確認しよう、という目的を設定しました。
開発コアメンバーでも、現状の開発の中身で狙った体験をしてもらえるか、を確認したいという声もあったため、まずは遊んでもらうことを大きな目標に設定しました。
購入につながるコネクションを構築する
知ってもらうだけでなく、購買につながるようなコネクションの構築も目的に取り入れています。
昨今では、ただ知ってもらうだけでは埋もれてしまうというゲーム市場の状況もあるので、購入につながる施策を考えました。
ただ、まだ未発売タイトルのためすぐに購入、というフローにはできないため、XといったSNSを用いたキャンペーンやSteamのウィッシュリスト登録をお願いすることにしました。
各条件を達成でプレゼントを行うキャンペーンを実施
事前準備➁ - 各種申請
TGSの出展に際して、200ページ近い出展要項が配られるんですが、これを確認しながら諸々の申請を行う作業が大変でした。
実際にはそんなに出す申請や申請に係る準備自体は重くないんですが、開発作業との並行と考えると結構手間がかさむ感じです。
この作業は、出展担当者として同じディレクターの清水くんと、出展の備品やレイアウト統括として森くん、プロジェクトメンバーではないですが会社のプロモーション周りも平行して作業してくれている土居さんに協力を仰ぎ、処理を行いました。
出展説明会と小間位置選定会
出展者向けの説明会と一緒に小間の配置位置を決める会が事前にあり、出展責任者の自分と担当者の清水くんとともに向かいました。
出展説明については、基本的に開催概要の説明とともに、出展時に気を付けることの説明がありました。
会場にかなりの数の方がいらしていて、今年の出展者数は多いなぁ、という印象でした。(座れず後ろの方で立ち見でした。)
出展説明会が終わると、出展区分に分かれて、小間位置の選定会が行われました。
といっても、同様の出展形式のブースに対して位置決定の優先度が割り振られていて、順番に余った位置から選んでいく、というものでした。
一般展示のターンキーブース出展の区分で招集を受けた中で出展位置を選ぶことになりましたが、出展小間数の多い順かつ前回出展実績があるところから、という順番で小間位置を選んでいくことに。
我々は前回出展がTGS2022だったので、5番目の選択となりました。
本当は端っこの位置を取りたかったんですが、残念ながら5番目では既に埋まってしまい...結果、06-N10の箇所に決まりました。
位置としては、バンナムさんの真横で、端っこではないものの当初の想定通りの位置を確保することができました。
すぐ真横にバンナムさん、集英社ゲームズさん。さらに広い動線から見える視線の先の位置!
前回出展したときにも同じような場所で、ライトアップやイベントが行われるであろう バンナムさんのライティングや盛り上がりに乗じてしまおう作戦です。
当日は、アグモンのグリーティングもありかなり人の流れが多く、期待以上に良い位置が取れたと実感しています。
締め切りに追われる大変さ
各種申請についてはもちろん締切があり、それに合わせていろいろとブース運営計画や備品の準備を進めていきました。
申請の中には、配布するノベルティの種類の申請やブースで使用するレンタル備品の申し込みなど様々含まれているので、この申請の締め切りまでにブースでどんなことをするか、何を配布するかなどを確定させる必要があり、備品やノベルティを担当してくれた森くんには結構頑張ってもらって各種デザインやレイアウトを決めてもらいました。
ホテルの申請は埋まるのが爆速
4日間開催ともなると、毎日幕張に通うのは大変なため、毎日参加のコアメンバーのうち3名分のホテルを取ることにしました。
会場近辺のホテルも一定の枠数でTGSが押さえているようで、こちらの申請が可能でした。
ただ、会場周辺のホテルはすぐに埋まってしまい、結局のところ設営日からの2泊と残りの2泊は別のホテルを取ることに。
(2個目のホテルに至っては、少しアクセスが悪く、タクシーを使って幕張に向かうことに)
毎日程参加してくれているメンバーに少し負担を強いることになってしまって、悔しい限りです。
もし次に出展する機会があったら、まずはホテルの申請をするほうがよさそうだなと実感。
お弁当の申し込み
当日、お弁当を届けてくれるサービスの申し込みもできました。
幕張メッセ内にコンビニはありますが、開催中は非常に混みあっているだろうという予想のもと、参加してくれたメンバー分のお弁当を申請することに。
結果、予想通りで当日の昼時にコンビニを利用するには結構時間もかかり、駅のほうにある商業施設に向かおうにも距離があるということで、このお弁当申請は功を奏したかなという印象です。
一部のお弁当は温かい状態で届けてくれたようで、注文したメンバーも満足だったようです。
少し量が種類によっては少ないので、食べ盛りには物足りないかも?
事前準備➂ - ブース装飾
電源等が用意されているターンキーブースでの申し込みだったため、あまり凝った装飾や施工などはせず、試遊体験用の機材とモニターを設置するのみのコンパクトな装飾にしました。
備品の配置については、図面を森くんが作成してくれたので、それをもとに装飾に必要な備品を発注していきました。
森くんが作ってくれた備品レイアウト図、これをもとに人員配置やオペレーションを調整した。
目的の一つに『リトル・リコレクター』を知ってもらう、ということを設定しているので、一番は目を引くような工夫が必要として、モニターは55インチの大きめサイズをレンタルすることに。(かなり高くつきましたが、直接搬入する手間やモニター在庫を抱えることを考えると仕方なかったかなと)
その他、イラストを活用した横断幕やポスタースタンドを使って、キービジュアルが道行く人の目に留まるように工夫をしました。
これらが結構効果てきめんで、試遊をしたいと声をかけてくださった方のほとんどが、でかいモニターで再生されているゲーム画面や、かわいいアニーとトリスタンのイラストがかかれたキービジュアルを見て気になった、と言ってくれました。
等身大パネルも用意しましたが、ポスターと並べて目を引く要素になったかなと感じています。
TGSの出展規定として防炎素材であることが必要で、納期都合で一時は諦めかけた展示物でしたが、アルミ複合板で当日までに用意できる業者さんを見つけることができたので、無事実施ができた展示施策でした。(防炎素材での発注だったため、紙素材のもの比べてそこそこ割高に...)
現在は、オフィスのエントランスに展示しています。
アニーとトリスタンの等身大パネル
事前準備➃ - ノベルティ・配布物
ノベルティは条件を設定して、5種類用意しました。
本当はトリスタンぬいぐるみも用意したかったんですが、予算と納期都合で泣く泣く諦めることに...無念。
フライヤー
道行くひとに配布するゲームビジュアルと内容を裏表で印刷したチラシを作成し、配布しました。
フライヤー単体だとなかなかもらってもらえず、ビジネスデイの2日間ではあまり捌けなかったんですが、一般公開日は打って変わってかなりの方にもらっていただける結果になりました。
当初想定として、2,000枚刷って持って行ったのですが、一般公開日1日目で1,500枚ほどが捌け、全2,000枚を配り切る事態に。
印刷会社に前日発注の特急料金で刷り増しをお願いして、一般公開日2日目では1,000枚を配り切るという形となりました。
人数予想が外れてしまって悔しい反面、予想以上の人数にリーチできたのが僥倖でしたね。
トリスタンうちわ
トリスタンの形をしたうちわを作り、配布しました。
通常のうちわとは異なり、トリスタンの形に切り抜かれているので、少しうちわとしての機能は弱いですが、可愛さ特化のグッズ感で作成しました。
通常うちわに比べて単価が高く、フライヤーと同量の用意は難しかったので、フライヤーと併せて配るとすぐに当日の設定数を配り切ることに。
かわいいデザインも相まって、うちわはかなり受け取ってもらいやすく、『リトル・リコレクター』への興味の入口としては非常に効果的だったなと感じています。
可能であれば、もう少し数を用意したかったところですが、仕方ない...
ステッカーセット
試遊体験をしてくれた方を対象に、2種のステッカーをお渡ししました。
ロゴ単体のものと、アニーとトリスタンの描かれた円形のステッカーをセット。
単価も安価で用意しやすいので、ノベルティとして用意しがちだったりします。
ロゴにタイトルも含まれているので、結構効果はあるかなと思っています。
競合のノベルティも多いので、なかなか効果が測定できないのが残念ではありますが、もらっていただいた方からはイラストの可愛さをほめていただいたので、作ってよかったなと感じています。
4コマ漫画冊子
Webで連載している4コマ漫画『とりたんっ!』を冊子にして配布することにしました。
世界観を知ることができる読み物として、試遊体験を待つ間に読んでもらう形がよいかなと思い、自分の方から提案しました。
製本作業については、デザイナーの茨木くんに手伝ってもらいましたが、個人的には結構こだわりのあるノベルティだったので、いろいろと調整を細かくお願いしました。
慣れない作業の中で負担を強いてしまいましたが、良いものが出来上がったなと感じています。ありがとう!!
冊子の紙質から、ページレイアウト、表紙デザイン、諸々こだわりだらけのノベルティに仕上がりました。
配布の条件としては、ウニコのXアカウントをフォローいただき、対象のポストをリポストしてもらうという、SNS広報に力を入れた施策となりました。
条件の内容から結構渋られるかなと思っていたんですが、思いのほか対応してくださる方も多くて驚きでした。
ハンカチタオル
トリスタンの刺繍がワンポイントで入ったハンカチタオルを作成しました。
トリスタンうちわに並んで、かなり評判の良かったノベルティの一つです。
代表の一声でハンカチを取り入れることになったのですが、受け取ってくださった方の反応がかなり良く、もらった方から後日ご連絡をいただいた際には、普段使いもしやすくてとても良いとお声をいただきました。
トリスタンの刺繍デザインも新規に描き下ろしてもらったので、喜んでもらえて非常に嬉しい思いです。手触りなどもこだわった甲斐があった!
ちなみに
各種ノベルティは、基本的には会社に納品いただいて、一度検品をしつつ梱包作業をしました。
というのも、各種ノベルティを梱包オプションを付けて発注すると高いので...
ここは文化祭の前日準備みたいな感じで、手の空いたメンバーに手伝ってもらいながら、袋詰めやうちわの取っ手付け作業をしました。
袋詰めと取っ手付け作業。単純作業で辛い中、手伝ってもらいました。
当日の運営
そして迎えた当日――
やはり、お目当てのブースがある方がほとんどで、最初の小1時間くらいは落ち着いていましたが...
時間が経つにつれて、多くの方が我々のブースに立ち寄ってくださいました!
ありがたいことに多くの方が足を止めてみて下さり、興味を持っていただきました!
試遊体験には、必ず横に一人ついてフォローをするオペレーションに。丁寧さを評価いただきました。
スタッフのオペレーション
当日のスタッフは、社員全体に声がけを行い、お手伝い可能なメンバーを募りました。
コアメンバーも含めて、各日7-8人前後でブースの運営を行いました。
ブースの運営においては、役割分担を設け、こういった作業や運営業務があり、こういうことをする、というのをマニュアル化して予め通達していたので、どのメンバーも案内については迷うことなく、対応できていたかなと。事前の緻密な準備が功を奏した瞬間でした。
各日、シフト表を作成して何をしてもらうかなどを決めました。が、結局ライブ感で調整することに...w
ビジネスデイの対応
個人的に大変だったのが、ビジネスデイの商談対応でした。
TGSは業界関係者が、出展や来場で参加する際に、ビジネスマッチングのサービスが利用可能なんですが、出展責任者で登録していた自分の元にかなりの数の商談リクエストが飛んできました。
想定はしていましたが、予想以上の数が来まして...とはいえ、どれも無下にはできない、ということでブースでの簡単な挨拶程度ではあるものの、極力受け入れることにしました。
これによって、ビジネスデイの両日のほとんどが商談で埋まってしまい、ブースの運営にあまり注力できなかった点が少し心残りではあります。
とはいえ、このビジネスマッチングで今後の『リトル・リコレクター』の展開などに取り入れられそうなつながりを得ることができたり、お声がけいただいた方にもタイトルをご紹介できたのはよかったなと。
慣れない商談だったので疲弊はしましたが、実りもその分多かったと思ってます!
ランキングボードの導入
取り入れた施策として効果的だったものとして、ランキングボードがあります。
ものの思い付きで、100円ショップでホワイトボードを購入して、森くんに「これに当日のスコアを書いていくようにしない?」と提案したのが発端で、当初はそんなに反響があるとは思っていませんでした。
ただ、試遊体験していただいた方のほとんどが、その日のランキングスコアを気にして、ランク入りを目指してプレイしてくれました。
時には並び直して、1日に4回プレイされた方もいたほど。
ランクに載った方は写真に撮ってくださって、それをSNSに投稿してくれる、という思いがけない広報の連鎖もあって、思い付きで提案して良かったなぁ、と。
ランキングボード1日目
ランキングボード2日目、マグネットシートを導入してランキングの入れ替えを容易に。
ランキングボード3日目、ボードがちゃっちかったので、枠付きのものを買い足した。
ランキングボード4日目
ちなみに、開発者の中での最高スコアは210,860だったので、まだ破られてません!
出展してみて
大変ではあったものの出展した結果得られたものは多かったのかなと思います。
実際の宣伝効果などはリリースしてみてから出ないと、成果は見えづらいですが、SNSの各種数値と集計結果から見込みよりも多くの方にリーチすることができたんじゃないかなと思います。
集計データ
| 総来場者 |
約5,000人 |
| 試遊人数 |
254人 |
| リポストキャンペーンのインプレッション数 |
15,937 |
| フォロワー数の増加量 |
約250人 |
| ウィッシュリスト登録数の増加量 |
約400 |
まだリリース前のタイトルになるため費用対効果については何とも言えませんが、それでも想定よりも多くの方にリーチできた出展になったかなと思います。
全体的に出展して満足度は高いです。
一般の来場者の方のみならず、業界の方やインフルエンサーの方ともお話する機会があり、そういった方々に知っていただけたことは、リリースしたときの良い効果につながるでしょう。
何よりも、この東京ゲームショウへの出展に向けてコアメンバーを含めた開発メンバーが開発作業だけではないところで協力することができたのは、結束感の高まりも感じましたし、開発メンバーが出展や当日の運営に携わったことで、タイトルにかける想いが強くなったと思います。
直接ユーザーの声を聴ける、というのは以降の開発作業にも顕著に影響が表れていて、みんな思い思いの改善点やこうしたいというゲームのあり方を目指して作業に取り組んでいます。もちろん、ディレクター陣はその思いをまとめて方針立てをしています。
単なるプロモーションのみならず、開発のモチベーションや、届けたいゲームの形を再認識できる機会として、東京ゲームショウへの出展をして良かったと強く感じましたね。
最後に
まずは、ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
皆様からいただいた声も参考に、今日も『リトル・リコレクター』の完成に向けて、日々開発を続けています。
製品版として皆様にお届けできるまでまだお時間をいただきますが、より良いものをお届けできるように鋭意制作を続けてまいります。
アニーとトリスタンの<回収屋物語> 『リトル・リコレクター』 にぜひご期待くださいませ!
ブースの前でパシャリ(1日目)
会場のモニュメントでパシャリ(最終日)
八丁堀のお店でその日のうちに乾杯! プロジェクトの今後についてもあれやこれやと話に花が咲きました。