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開発日誌

―リトル・リコレクターのメンバーが、それぞれの目線で開発の様子をお届けします―

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#52 「ゲームにおける世界観の構築」

こんにちは、ディレクターの笹口です。
今回は、『リトル・リコレクター』の世界観がどのように決まったのか、
そもそも世界観とは、ゲーム開発においてどのような役割を持っているのか、ということをお話ししていきます。
なお、世の中のゲーム開発における考え方は多種多様で、あくまで本作における世界観の構築の経緯としてお聞きいただければと思います。

世界観を作ることになった経緯

ちょうど一年前くらいに投稿した記事「#6 「企画はどうスタートしたか」 でも少し触れましたが、
本作の企画が始まった経緯に、アートディレクターの清水くんの描いた「アートで引っ張っていく」という方針がありました。

初期世界観イメージボード 初期世界観イメージボード

このイメージボードと一緒に、簡単な世界観についての構想も受け取っていたので、それを原案に調整を施しながら、世界観そのものも骨子づくりと肉付けを行うことになりました。

そもそもゲームにおける世界観とは?

「世界観」という言葉自体は、ゲームに限らず、漫画やアニメ、小説など様々なコンテンツで用いられ、耳馴染みもあるかと思います。
どのコンテンツにおいても、世界観は物語を構成するための、いわゆる「物語の舞台」と捉えている方が多いと思います。
ただ、ゲームにおける世界観は、物語を構成するための設定やルールにとどまらず、ゲーム体験そのものに主軸を置いたものと考えています。そのため、描かれるストーリーのみならず、グラフィックやUI、サウンド、レベルデザインなどのあらゆるゲーム体験に影響を与えてきます。

本作は特にストーリー重視というよりは、ゲーム体験に重きを置いたタイトルです。
文字情報で伝えよう、ということはせず、アニーとトリスタンのリコレクターとしての体験を通じて、少しずつ世界観を感じ取ってもらおう、という方針で開発を進めています。

そのため、本作におけるゲームの世界観は、ゲーム体験を彩るあらゆる要素を作成するにあたって、ブレをなくすための指針という役割を担っています。

世界観はどのようにして作成したか

ストーリーを語らない、という方針のためゲーム中では語られることはほとんどないのですが、各種デザインや演出などから「こういう世界観なんだ」という空気感や雰囲気を感じ取ってもらえるように、開発メンバー向けの世界観資料を作成しました。

決め過ぎない世界観

ストーリーが重要な媒体などであれば、読み進めたり見続けているうちに矛盾が生まれないようにするために、予めかっちりと定められた世界観が必要だと思います。
一方で、本作のように、特定のストーリーを語らないゲームにおいては、むしろ曖昧さや余白を残すことによって、プレイヤーそれぞれが想像を膨らませる楽しみが生まれると考えています。
そのため、開発チームが作成する素材や演出に一貫性を持たせることだけに終始した粒度での世界観の構築を行いました。
特に、ビジュアル面はデザイナーのアイデアを活かしたいと考えていたので、まずはコンセプトアートをいくつか描いてもらうための、叩き台レベルで世界観を作成しました。

最初は清水くんの原案から構想を膨らませたメモ書き程度のものを渡して、塔内で冒険する少女と相棒の鳥、というコンセプトアートを目指してもらいました。

初期コンセプトアート 森くんに描いてもらった初期コンセプトアート

アニーとトリスタンの名前すら決まっていない当初、塔の設定も固まっていなかったため、"中央通孔"という真ん中に大きな空洞がある塔が舞台で、今よりもはるかに広いダンジョンを探索するイメージで構想を膨らませてもらいました。

世界観とコンセプトアートの平行作成

コンセプトアートは清水くんと森くんの二人でいくつかの案を作成してもらいました。
描くにあたってわからない部分などは都度質問してもらい、ある程度頭の中にイメージが固まっている僕から情報を引き出しつつ、みんなで意見を出し合って固めていきました。

そのため、決まった世界観からコンセプトを作成するというよりは、世界観をコンセプトアートを描きながら固めていった形になります。

結果として、コンセプトを作成するデザイナー2人に負担はかけたものの、世界観への理解を高い密度で3人の間で共有できたと感じています。特に森くんは現在UIデザインの調整をお願いしていますが、世界観を深く理解しているからこそ、上がってくるデザインのほとんどが『リトル・リコレクター』の世界観にドンピシャのものになっています。

変化していく世界観設定

先ほど少し触れたように、当初は一つの巨大な塔をダンジョンとして、そこを冒険するという構想でした。
しかし、ゲーム開発が進むにつれ、ゲームプレイのサイクルの調整やプレイフィールの調整を重ねるうちに、この「一つの巨大な塔」という設定がゲーム体験と合わない部分が出てきました。
そのため、この設定は捨て去り、空に浮かぶ多くの浮島を巡る冒険、という世界観設定へと調整していったわけです。

ワースイラスト 現在のワースのイラスト

これこそが、ストーリーよりもゲーム体験を重視したゲーム制作の場ならではの世界観の決め方ではないかなと思います。

最後に

本編では語らないとした世界観設定ですが、これまでの開発の中で決まった設定や、4コマ漫画「とりたんっ!」の連載に向けた調整などを重ね、設定はかなり固まってたりします。

今後のプロモーション施策のみならず、どこかでこの世界観を皆さんにも味わっていただける機会を設けられないか検討しています。
webのページなどに世界観解説のページとか作るのもよさそうかなー、なんて。

すぐすぐの着手はできなさそうなのですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです。

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