#13 「ゲームタイトルの決め方」
今作のタイトル決定までの紆余曲折
こんにちは、ディレクターの笹口です。
5月末バタバタと忙しくしてました。ホントは金曜日に投稿したかった...遅刻です。
さて、今回は 「ゲームタイトルの決め方」 というタイトルで、今作のタイトルが決まるまで、どんな話し合いがなされたかなどをお話できればと思います。
ゲームのタイトルを決める、チーム制作や個人制作にかかわらず、皆さん悩むところじゃないかなと思います。
例に漏れず、我々もしっかり悩みました。決定までは2か月弱くらいはかかった気がします。
そんな我々がどのようにして、タイトルを決めて行ったのか。
そもそもタイトルってどう決めればいいのか、体験談を交えつつお話していきます。
タイトルっていつ決めるべき?
まず、本タイトルは企画書を作成するタイミングで、タイトルはまったく決まってませんでした。全くと言っていいほど、タイトルへの考慮は無し。後で考えよう、という空気感で進めてました。
というのも、タイトルに引っ張られる企画の作り方をすると取っ散らかってしまう場合もあるので、それは避けたい思惑でした。
タイトルは、ゲームについて真っ先に手にする情報で、いわばタイトルの顔とも言えます。そこからどんな雰囲気のゲームなのか、どんな内容のゲームなのか、ユーザーさんは想像します。 同様に、開発しているメンバーもそれを意識して開発を進めていきます。
もしタイトルに対しての想いなどを開発メンバー全員で共有していて、全員が同じ方向を見て開発を進めていける環境が整っていれば、タイトルはコンセプトに並んで強力な開発指針として機能します。
しかし、本プロジェクトは少し特殊で、開発初期段階ではディレクター陣で3人、そこから人数が徐々に増えつつ、スポットで手伝ってもらう人を増やしていく形で進行しています。
企画内容も作りながら試行錯誤することを前提に進めていくものだったため、はじめにタイトルをカチッと決めることも難しく、ある程度企画内容やゲーム内容が出来上がってから考えようということになりました。
最初にタイトルを決めたとしても、考慮の余白がありすぎて、タイトルからイメージする雰囲気や方向性が各自で異なってしまい統一感が取れない、みたいなこともあったかもしれません。
上記から、本プロジェクトのタイトル決定時期は、ある程度ゲーム制作が進み全体像ができてきた今のタイミングの決定になりました。結果としては、良いタイミングだったかなと思っています。(もう少し早くても良かったかもですが)
企画当初からゴリゴリにコンセプトや内容が固まっている場合などは、先にふさわしいタイトルを決定することで、その後のゲームの空気感や方向性を伝えるためのタイトルを意識して開発を進められるので利点は多く、可能であれば初めから決めておけるといいかもしれません。
タイトルはどう決めたのか?
まずはチーム内で入れたい言葉があるか、をブレストしました。 このゲームのキーワードって何だろう。というところから詰めて言った感じです。
そこで多く挙がった言葉が「回収屋」という言葉でした。
もともと世界観を設定する中で、主人公のアニーとトリスタンの職業として回収屋という言葉を仮で使用していたのですが、多くのメンバーが回収屋というワードを気に入り、正式にそのワードを使用することになった経緯があります。
その他にも、「空」や「浮島」などの世界観に合わせた用語を入れたい、という話になりいろんな案を出していきました。
- 「浮島の回収屋」
- 「大空(そら)の回収屋」
などなど。
タイトルで表現したいイメージをまずは先に固めていきました。
タイトルっぽさの模索
空にある浮島にいる回収屋という職業の主人公、という表現したいイメージはあっても、そこからタイトルっぽい言葉の模索が始まります。
「浮島の回収屋」という表現がしっくり来る人が多い中、タイトルとしては少し抽象的な世界観表現過ぎて主人公へのフォーカスからは少し離れすぎているかもしれない、という意見もありもう少しアニーとトリスタンを表現したタイトルを模索することに。
名詞としてのわかりやすさ・イメージしやすさ
「回収屋」という言葉、[回収]というわかりやすい言葉に、[屋]という屋号を示す単語がくっついた造語なので、パッと回収を生業とするお店か職業、みたいなことは想像できるのですが、そもそもそんな職業は現実には無いので、想像できるがゆえに逆にわかりづらいのではないかと考えました。
そこで、「回収屋」という言葉に独自の読み方、呼称を設定しようということになりました。
(某探偵アニメの劇場版のタイトルのようなイメージですね。)
Collector, Reclaimer, Tinkerなどいろいろな単語を候補に検討していきました。
世界観担当としては、単に回収するのではなく、取り戻すといった意味合いを入れたい、という要望も出したのですが、これはいずれ世界観のお話をするときに詳しく触れられると良いかなと思うので、ここでは割愛です!
最終的には、Collectというわかりやすいであろう単語と、Reという再びという意味合いのある接頭辞を付けたリコレクター(ReCollector) はどうかという意見にまとまりました。
主人公を示す呼称をタイトルに
回収屋の読み方を決めましたが、「浮島の回収屋<リコレクター>」というのもちょっとわかりづらいね、という話に。 なによりアニーとトリスタン感が無い、ということでいろいろと模索開始です。
アニーとトリスタンって、回収屋<リコレクター>界隈ではどんな感じ何だろうね、といった雑談めいた話もしながら世界観を掘り下げていく感じです。
脱線することもありましたが「アニーは子供でトリスタンは鳥だから、崩れる浮島の遺跡から宝を回収する職業としては、小さすぎるし危険なんじゃない?」と誰かが口にした時「それだ!」ってなりましたね。
屈強な回収屋が多い中で、ひときわ小さくて注目される小さな回収屋<リトル・リコレクター>
ここでズバッと主人公たちを表現できる言葉を見つけたのです!
副題の是非
主人公たちを表現するものとして「リトル・リコレクター」という言葉は見つかりましたが、次はその意味合いを補強するものとして副題を設定するかどうかの議論です。
「リトル・リコレクター ~浮島の回収屋~」 みたいな感じですね。
この辺は、弊社代表に判定してもらいました。ぶっちゃけ、副題ありのタイトルは好みじゃない、ということでした。 もちろんそれだけでなく、英語にしたときを考えた際、副題の"回収屋"部分がリコレクターで重複してしまう懸念もあったため、浮島の雰囲気はタイトルで表現することは一旦あきらめることになりました。
とはいえ、シンプルなタイトルに仕上がったので、想像の余地は残しつつ、うまく主人公たちを表現できるものに仕上がったのではないかなと感じています!
ネイティブにも伝わるかのチェック
一度ネイティブの方にも、伝わるかのチェックをいただきました。
一番懸念だったのは、ReCollectorという単語がそもそも通じるのか、どうかというもの。
Recollectとなると、再回収という意味ではなく、思い出すという意味合いになってくるので、回収という意味合いを含んで聞こえるか、などを伺いました。結論としては、そのままだと難しいかもという回答でした。やはり、思い出すという意味が強くなり、多少は集めるというニュアンスはあれど...みたいな感じ。
ただ、「Re-Collect」としてハイフンでつなげることでニュアンスは伝わりやすくなるとのことだったため、英語での表現では"Little Re-Collector"とすることになりました。(ここはロゴの下部にも記載しています)
ネイティブチェックを担当いただいた方にも、「Recollector」単体だとちょっと珍しい単語で「記憶を思い出す人?」と捉える人もいるかもしれないが、逆に「架空の職業感」が出るので面白い発想だと思う、と言っていただけたのはホッとしたところです。
ちょっとした呼びやすさや遊び心
余談ですが、笹口的には4字に省略しやすいかも結構気にしてました。
コレクターとリコレクターと悩んだタイミングもありましたが、縮めたときに「リトコレ」になるか、「リトリコ」になるかだったら、後者のほうがなんかよくね?みたいな感覚的なものもリコレクターを採用するにあたっての後押しになりました。
その他にも「リトル(Little)とリコレクター(Re-Collector)で、頭文字取ればLRだよね、ゲームのボタンっぽくていいんじゃない?」なんて雑談もしてました。
(ただのLeftとRightなんですがw)
そんな小さなこだわりも詰まったタイトルに仕上がったと思います!
そんな経緯で「リトル・リコレクター」というタイトルに決定しました!
結局タイトルの付け方は人次第(な気がする)
タイトルを決めるとなったとき、いろいろ決め方を調べたり、市場調査したりして、世にあるゲームのタイトルがどう決まったのかを考えていました。
結局のところ、良いタイトルとは何なのかという答えは得られずでした。一概には言えないのではないか?というのが正しいかもしれません。
これまでゲームについて触れている中で、世にあるゲームのうち、タイトルが良いから絶対に売れる、絶対に面白い、というものはないと自分は感じています。逆も然りかと言われるとそうではなく、タイトルで損をするものは少なからずあるとは思ってます。ですが、売れるゲーム/面白いゲームすべてに共通して言える、タイトルの明確な特徴や決め方というものはないのかなと思っています。
開発とプロモーションによって、タイトルに対しての考え方は変わってきますが、いずれにせよ"良いタイトル"という定義を設けること自体、かなり難しいでのはないかなと感じています。
タイトルに何を込めたいかが大事
自論ではありますが、タイトルに何を込めたいか次第なのかなというのが自分なりの結論です。
それが伝わるかどうかは、広告・宣伝などのタイトル以外の要素も関わってきますし、伝えたい想いを体現した体験や遊びを提供できるかは中身の開発にかかって来るので、タイトルはかくあるべき、みたいな包括的な答えを出すことは難しいんじゃないかなと思っています。
広告・宣伝や開発を行う際に、どういった意図のタイトルなのか、何が込められているのかを意識して取り組むための想いの有無こそが重要だと思います。この想い次第で、きっとどんなタイトルになるかは、同じ内容のゲームでも変わってくるんじゃないかなと。
また、昨今では、グローバルな市場でのゲームリリースが多くなっています。
そういった中で、タイトルだけでゲームの中身がわかるような気の利いたものをつけようにも、翻訳のコストやニュアンスのレベル感合わせがかなり難しい印象です。(凄腕の翻訳担当者がつけば話は別かもしれませんが)
また、タイトルだけを目にする、という状況よりは、何らかのビジュアルとセットになって目にすることが多いのではないかなと思います。そういった昨今の状況からも、ビジュアルイメージと一緒に表示されることを前提として、相乗効果を狙ったタイトルのつけ方も有効なのではないかなと考えました。
そこで、本タイトルでは
「タイトルとキービジュアルを見た人が、『リトル・リコレクター』という文言と主人公たちを結び付けて考えて、ゲームの中身を想像して興味を持ってもらいたい」
という想いを込めたタイトルとしています。
タイトルだけを見て中身を分かってもらうことは難しいと判断し、主人公を指し示す造語をタイトルに設定しています。
- タイトルだけで中身がわかって購買につながるようなものにする
- 奇をてらったタイトルで興味を引く(クリックしたくなる)ものにする
- 検索する際に覚えやすく印象に残りやすいように、わかりやすい単語を組み合わせる
などなど、もちろんプロモーションの目線でもタイトルを決めるにあたっての方針はいろいろあると思います。
そのタイトルに何を背負わせたいかによって効果的なものが変わるかと思いますし、場合によってはゲームの内容が左右されることもあるでしょう。
いずれもどういった狙いや想いがあるかが、どういったタイトルを目指すかを決める指針になると思います。
あなたがタイトルをつけるなら、どんな想いを込めて考えますか?
売れやすいことを意識したり、わかりやすさを重視することも大事ですが、きっと大切なのは「タイトルに何を込めたいかをしっかり考えたうえで、どのように表現するか」なのではないかなと私は思います。
ま、タイトルだけですべてが決まるわけではなく、タイトルもゲームを構成する一つの要素ということを意識して、その要素に何を込めるか次第なのかなというお話でした。 面白かったけどタイトルが正確に思い出せないもの、タイトルは覚えているけど内容がうろ覚え、みたいなタイトルもありますしね...(;´・ω・)
それでは今回はこの辺りで。また次回。(。・ω・)ノシ